2002年 海外公演レポート・2
「江戸糸あやつり人形」南米公演 (9月9日〜10月2日)


■ ボリビア公演・ラパス(受入 : ラパス日本人会)

 09/24 19:30- ラパス日本人会・会館


 標高3800mという日本では経験できない高地での公演。
 飛行機から降りたあとゆっくり体を慣らし、この日は芝居を軽く通すなど慎重に準備したため、無事終えることができた上、とても喜ばれた。

演目 全て
観客 220名




■ ボリビア公演・サンタクルス(受入 : サンタクルス中央日本人会)

 09/25 16:30- サンタクルス BUHO BLANCO (白いフクロウ)


 ベレンでのレクチャー・デモンストレーションと同じように進行。
 サンタクルスの彫刻家ファン・ブスティリヨ、北山やすこ御夫妻の自宅であるギャラリーBUHO BLANCO にて地元の芸術家を集めて行われた。後半は、サンタクルスの演劇状況などを尋ねた。(この企画は着いたときに知った)

参加者 30名


 09/26 19:30- サンファン日ボ協会公民館 


 サンファンはサンタクルスから車で2時間ほどの距離にある。日帰りという強行軍ではあったが、移住地の皆さんの喜ぶ顔を見て疲れも忘れてしまった。
 公演決定の連絡がサンファンに伝えられたのは一週間前で、宣伝が充分にできなかったそうだがとてもよく集まった。日本からの文化使節が滅多に来ないからのようだ。

*

演目 全て
観客 200名


 09/27 10:00- サンタクルス 9月24日公園・大道芸


 独立記念日を冠したこの公演は大道芸がしにくいところ。官庁街の真中にあって人通りが多く、午前中にもかかわらずよく人が集まった。夜の公演をマスコミに宣伝する目的もあり、テレビ局4社、新聞社が2社も来た。ストリートチルドレンが熱心に観ていたのがとても印象的だった。

演目 かっぽれ、酔いどれ、獅子舞
観客 150名


 09/27 20:00- サンタクルス 中央日本人会・講堂


 照明設備がとても充実していた。
 宣伝の効果もあって、ずいぶんよく人が入った。

演目 全て
観客 350名




■ ペルー公演・リマ(受入 : ペルー日本人会)

 09/28 16:30- リマ カトリカ大学 


 科学と芸術の会話 学部 < 直訳 ルイス・ペイラノ学部長主催のレクチャー・デモンストレーション。学生30人、オブザーバー20人。
 前半はベレンと同様に進行。そこで学生の大半は試験があるとかで帰る。後半は演出方法など人形芝居の作り方について説明したあと、ペルーの演劇状況などについて話を聞く。

参加者 50名


 09/29 11:00- リマ公園・大道芸


 公園内の人形劇場“ラ・カバニャ”前にて大道芸。
 曇天で人通りは少なかった。以前に糸あやつり人形を遣っていたが、不況で辞めざるをえなかったという人が何人か声を掛けてきた。
 その後、人形劇場を見学・交流。

演目 かっぽれ、酔いどれ、獅子舞
観客 120名


 09/29 16:30- 日秘文化会館・講堂


 舞台も天井も低く、客席が縦長という人形の観づらい舞台だったが、舞台監督が前日からひとり残って仕込んでくれたお陰でなかなかの舞台に仕上がった。
 フジモリ元大統領のこともあって、日本人、日系人への風当たりが強いという話も聞いていたが、全くそういったことは感じられなかった。

演目 全て
観客 250名




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■ 総括

 今回は24日間、3ヶ国9都市で「かみなり」を13回公演、老人ホームや学生に対してのデモンストレーションが5回、大道芸を4箇所5回、レクチャーとデモンストレーションを3回、合計で26回のステージをこなしてきた。これだけ長期にわたるハードな日程を組んだのは、もう滅多に行けないだろうし、今行かないと日系1世の方々が亡くなられてしまうだろうという思いからだった。
 様々な関係者の協力を得て、日本からの文化使節が滅多にまわらないところへ行くことができ、新たにいろいろな人と出会えた。また現地の要請で今回初めてワークショップやレクチャーとデモンストレーションを開いたが、かなり興味を持ってもらうことができたし私達にとっても大きな経験になった。南米の演劇・人形劇の情報はなかなか日本まで伝わらないので、僅かながらでも彼等と交流できたのは有意義であった。折角できた関係を、少しずつでも太いものに育てていければと思っている。

 情報をまとめると

 サンタクルス演劇祭

今年で3回目になる演劇祭。毎年5月に開かれている。テーマまでは判らないが、中南米の劇団が参加している。

 KUSI KUSI

ペルーで中心的な人形劇団。ペルーの民話をもとにした人形劇などを創作。ペルーの演劇史に精通している。


 またこの他にボリビアやペルーの劇団の人に会った。ボリビアの劇団は、共同作業をしながら芝居を創作、現在はボリビアの少数民族の中に入って共同で創作しているそうだ。今その劇団の台本を送ってもらっている最中で、演劇協会などと共に新しい関係をつくっていければと考えている。

 公演には関係ないことだが、今回の旅で1世も含めた日系人から生の声を聞くことが出来たのは大きな収穫だった。相当つらい経験をカラリと言われるのだが、それだけに重みを感じてしまった。
 各地とも日本からの文化使節を待っているのは、今回も同じだった。私達のあと文楽の公演があったが、チケットが高過ぎて日系人には手が出せないとのことだった。派遣のあり方について考えさせられる言葉だった。


 2002年「江戸糸あやつり人形」南米公演
 助成 : 国際交流基金 企業メセナ協議会
 協賛 : 美装株式会社・味の素株式会社・沖電気工業株式会社・株式会社資生堂
    日商岩井国際交流基金・サンストリート・ヴァリグ ブラジル航空




>> 国際交流基金派遣事業「大道芸デモンストレーション」(10月10日〜11月6日)





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