2002年 海外公演レポート4
国際交流基金派遣事業「大道芸デモンストレーション」(10月10日〜11月6日)
江戸糸あやつり人形・江戸太神楽


■ チリ公演・ビーニャ デル マール

 10/28 20:00- ビーニャ デル マール市立劇場


 ヨーロッパ風のバルコニーのあるオペラハウス。オケピットがあって、客席が離れている。舞台が低めで人形が見づらいので平台を敷いてもらい、休憩中にはける。
 観客から"Good Program"と声がかかった。

観客 600名



■ チリ公演・サンチアゴ

 10/30 14:00- 地元の人形劇人と交流 (ホテルにて)


 前日に地元の人形劇人から大使館に申込があって急遽開かれた。時間が短過ぎてたぶん物足りなさを感じただろう。
 チリ国内に人形劇団は15しかなく、それまで人形劇を担ってきた人達が高齢になったため、今若い人に伝える拠点づくりをしているそうだ。演劇は大学でも教えているが、人形劇はないとのこと。私達に教えに来てくれないかと言われた。
 若い4人は、それぞれ別の劇団だという。彼等の先生は ANA MARIA ALLENDES 氏。

*


 10/30 20:00- カトリック大学文化センター


 舞台が高いのでギリギリ前に地がすりを敷く。舞台の作り方のことで太神楽と一悶着あったが、スタッフがうまく対応してくれた。
 観客は前々日の評判を聞いてぞくぞくとやってきた。

観客 800名




■ コロンビア公演・ボゴタ

 11/01


 午前中、黄金博物館を見学。
 午後に会場の下見。太神楽は「照明は全体が明るければ良い」と指示し30分で切り上げる。その後私達は照明を仕込む。初めてサスライトやころがしを仕込むことができた。通訳の方々が舞台に明るく、助かった。

 11/02 14:00- ヒルベルト・アルサテ・アヴェンダーニョ基金


 11時までに照明は終わる。太神楽も照明の仕込みを頼むが、時間がないと断わられた。
 土・日・月とコロンビアは連休。もうひとつ客足は伸びなかったが良い舞台ができ、劇場支配人は「グッド・プレゼンテーション」と喜んでいた。終演後、たくさんの人が人形を見に舞台に挙がり、交流した。

観客 250名


 11/03 10:00- HILOS MAGICOS 人形劇場訪問


 前日の終演後舞台に集まった人達と交流した際、招待された。
 キューバの人形劇人を紹介された。

*


 11/03 14:10- ヒルベルト・アルサテ・アヴェンダーニョ基金


 1、2階とも立ち見が出る。カーテンコールは総立ちになった。
 この劇場のロビーは図書館になっていてたくさんのオブジェが展示してあった。

観客 500名



-<< アメリカ・メキシコ・エクアドル・トリニダット トバゴ 公演




■ 総括

 各地のスタッフは舞台を良く理解し、いとわず積極的に協力してくれた。またチリやコロンビアなどでは通訳の方が舞台に明るく、舞台づくりの真意を的確に伝えてもらえた。お陰で各地とも良い舞台をつくることができた。

 打合せでは太神楽獅子舞を最初にしていたが、1部を私達、2部を太神楽とはっきり分けてからお客さんの反応が一段と良くなったようだ。その方が演出上好ましいと思う。
 異なった芸がいくつか一緒になって海外公演をする場合、劇場の構造が日本と違うので演出家か舞台監督をつけて総合的に舞台を構成するべきだと考える。
 また、芸人も海外公演の意義やある程度の演出を考えるべきだ。各地の迎える側から「コネで送られてきたけど、どうしようもなく酷かった」とか「接待付けに慣れていて、2回ほどちょこちょこっと舞台をこなしたかと思うと後は豪遊」などという言葉を聞いた。恥ずかしい限りである。

 舞台を見た人で、人形だけではなく太鼓や三味線、太神楽の道具にも興味を持つ人がけっこう居た。そういう人と交流することも日本文化の紹介になると思う。その時間がなかなか取れなかったのは残念だった。


 各地で聞いた、大道芸、演劇状況をまとめると

メキシコ

メキシコではジャグリングの人気が高いそうだ。グアナフアトでも何組か出ていた。その外パーカッションのバンドや糸あやつり人形のパントマイムなど出ていた。

エクアドル

大使館に状況を尋ねたが、把握していなかった。しかしいろいろ電話をかけてくれた結果、1つの人形劇団と会うことができた。人形劇団と劇団が一緒に協会をつくっているとのこと。合計で数十しかないことなど聞いた。音楽や踊りに人気があるようだ。それでも音楽と演劇をやっているという若いグループが3回も見にきたと声を掛けてくれた。

トリニダット・トバゴ

英国領だったのでシェイクスピアなど演劇が盛んかと思ったら、ここも音楽や踊りの人気が高かった。文部省の大臣が作家で、戯曲も書いているそうだが、本を手に入れるのは印刷事情から無理とのことだった。

チリ

1週間後の日曜日にカトリック大学の近くの公園で、大道芸フェスティバルが開かれるとのこと。大道芸は盛んだそうで、交差点でジャグリングだけではなくそれにパーカッションを加えたり、アコーディオンを弾いたり、銀色に塗ってぜんまい仕掛けの人形になったりといろいろいた。

コロンビア

この国は文化度が高い。人形劇団は全国に100、人形劇場もボゴタ市内だけで6つもあるという。小劇場もあちこちで見かけ、演劇も盛ん。今もっとも人気があるのは喜劇で、台詞が中心と聞いて観るのをやめた。ボゴタ市はストリートチルドレンにジャグリングを教えているそうだ。労働してお金を得ることを覚え、麻薬に染まるのを防ぐためだという。あちこちの交差点でジャグリングする子供を見かけた。



2002年 国際交流基金派遣事業「大道芸デモンストレーション」
江戸糸あやつり人形・江戸太神楽
野毛大道芸プロデュース




>>「江戸糸あやつり人形」南米公演 (9月9日〜10月2日)


<< Topback >>